無個性モブキャラ脱却記

何の特徴もないモブキャラがいろいろ挑戦してみる。

忙しすぎて心が迷子になってない?

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会社をサボって映画に行ってきた。

……冗談です。サボったわけではありません。

以前の記事で書いたように、人の仕事を代わりに担当することとなり忙しい日々を送っていた。仕事量が増えた結果、自分の仕事に手が回らずに、GW中も仕事をする羽目になってしまった。その代休として会社を休んだ。

いつ休むかはまだ決めていなかったが、いろんなことが重なった結果、明日は会社を休んで映画に行こうと前日夕方に決めた。

 そのきっかけは、この記事のタイトルにした「忙しすぎて心が迷子になってない?」という言葉だ。これは、ドキュメンタリー映画ターシャ・テューダー 静かな水の物語』の中でターシャ・テューダーが発する言葉。

様々な情報が溢れている昨今、ネットニュースは流し読み程度にしておかなければ時間がいくらあって足りない。自分にとってさほど重要ではない情報を収集することに時間をただ浪費することが、仕事で忙しい日々の息抜きだなんて寂しすぎる。

忙しい日々に荒んでやさぐれていたわたしは、「心が迷子になってない?」というタイトルに惹かれてその記事を読んだ。そこで初めて、『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』という映画の存在を知った。そして、映画の公式サイトを見てみた。

アメリカを代表する絵本作家であるターシャ・テューダーのライフスタイル、美しい庭、かわいい動物。そして言葉。この映画を観たいと思った。

 

いくつかの偶然を人は運命と呼ぶ。

わたしが実際に映画を見に行くに至ったのにはいくつかの偶然がある。

まず、4月15日に公開されてから約一ヶ月が経とうとしているこの映画は、サイトを見ると今週の土日が「劇場問い合わせ」となっており、もうやっていないかもしれなかった。この時点で、週末を待って夫と観に行くという選択肢はなくなった。夫が好きそうな映画ではなさそうなので、誘っても断られていた可能性の方が高いが。さらに、上映時間が午前と夕方だけなので、会社が近い友人と仕事終わりに観に行くこともできそうにない。

そして、上映している映画館は水曜日がサービスデーで映画代が1,100円だった。そして、会社の近くにある映画館には通勤定期で行けるので交通費も掛からない。余談だが、今のわたしはなかなかの貧乏である。

そういったいくつかの偶然と、映画を知ったタイミング、代休という条件が重なり合い、わたしは映画を観に行く休日を手に入れることとなった。

週末もこの映画がやっていたら、夫や友人を誘うことを考えて行くかどうかを保留にし、結局行かなかった気がする。サービスデーではなかったら、少しでも節約したいという我が家の経済状況から映画鑑賞など贅沢の極み!として行かなかった可能性が高い。

つまり、これは運命だ。誰かが、わたしがこの映画を観るためのお膳立てをしているとしか思えない。それが、神的なものなのか、それが必要だと思うわたしの精神的なものなのかは知らないが。

ちなみに、今確かめてみると、今週末も上映することになったようだ。5月19日まで上映予定が更新されていた。

 

映画館で観て良かった映画。

映画はとても良かった。昔、小さな子供の頃に憧れた童話の世界のように、そのライフスタイルや生活、家具や雑貨などにときめいた。ゆったりした時間と空気が流れて、思う存分にそれを楽しめた。

見事な手作りの人形。絵本のイラスト。花と緑。動物。雑然としていても絵になるなんて、外国ってずるい。薪ストーブのある暮らしや、丁寧に作る料理、ゆっくり味わうお茶なんて、わたしの憧れがてんこ盛り詰まってる。こういう自然溢れる暮らしがしたいと思う反面、便利で贅沢でなんでもボタンひとつでできちゃいそうな都会派生活にも憧れる。

わたしのそういう二面性はともかく、ターシャの言葉が心に染み入るような気がした。人生の小さなことを楽しむこと、忘れていたのかもしれないなぁと思った。

心がほわっと温かくなって、映画館を出てから肌で感じた風にさえ何かしらの意味を感じ取れるような幸せな気分。心地良い映画だった。

正直に言うと、途中で意識を失って健やかに寝たりもした。左隣の人はいびきをかくくらい熟睡してたし、右隣の人はなんとか目を覚まそうとやたらと動いていた。

さらに正直に言うと、ドキュメンタリー映画だし、きっと寝るだろうなーと思っていた。淡々と進む映像は、作品の出来に関係なく眠気を催すものなのだ。

ただ、その眠たくなった時間も含めて、映画館で観て良かったなと思った。自宅でDVDなど借りて見ていたら、ここまで印象に残らなかった気がする。

「忙しすぎて心が迷子になってない?」と、ターシャがそう問い掛けたときはなんだか泣きそうになった。

忙しくなると、思い通りにならなくてイライラしている自分にばかり気付くけど、ふとした時の夕焼けの美しさに涙する感受性を失いたくないなぁって思った。苛立ちや怒り、哀しみだけでなく、喜怒哀楽の「喜」と「楽」をもっとちゃんと感じたい。

生きることをちゃんとしたい。なんだか素敵な日だったなって思える今日みたいな日を、積極的に増やしていきたいな。

 

tasha-movie.jp